私は行政保健師になり16年働いています。
行政保健師の仕事はまさに『ゆりかごから墓場まで』と比喩される様にあらゆるライフステージにある人を対象とします。
行政保健師の仕事はやりがいがあり、魅力的なものです。
行政保健師として働いていく中で対象となる住民の方に寄り添い、支援ができた時にやりがいを感じます。
私が保健師として働く中で特に印象的な場面をいくつか紹介したいと思います。
児童虐待に対しては、予防するために乳幼児健診の機会を活用し虐待の危険性があることを見つけ、その子供や保護者に対して丁寧な援助を行うことをしています。
なかなか心を開いてくれなかった保護者の方が、『自分も実は虐待されていた、自分は叩くまいと思っていたけれど自分も親と同じようにしてしまう、どうしたらいいか分からず、ずっと悩んでいた』と打ち明けてくれ、子供と母親を守ることができた時は大きなやりがいを感じました。
保護者が発する僅かなサインも見逃さない様にと痛感した事例でした。
またある時は、新生児訪問で赤ちゃんとお母さんの産後の健康観察のために訪問しました。
ご実家に里帰り出産で、二世帯同居のご家庭でした。
祖母にあたる方が精神的に疲れているご様子だったので、その方にもお話をうかがいました。
すると同居されているお父様(曽祖父)のもの忘れがひどく、心配されていました。
病院へ行こうと言っても聞き入れてもらえず困惑されていました。
お話をうかがうとやはり認知症が懸念されたので、保健所の精神科医による認知症相談にご本人を勧めてみました。
曽祖父ご本人にとっては病院よりもゆっくりお医者さんからお話が聞けるからと繰り返し説明し、不安を取り除くように接しました。
後に保健所の保健師に事前に情報提供しておき配慮をお願いしておきました。
そして相談を受けられ精神科医の問診上で認知症が疑われたため改めて後日、画像診断を受け認知症と診断されました。
幸い初期の段階での発見だったので内服治療で症状の改善が見られ、ご本人もご家族も今までよりも生活が送りやすくなったと報告を受けました。
この場面のように最初の関わりは新生児訪問でしたが、家族単位で援助するという保健師の視点で援助できたとてもやりがいを感じた場面でした。
現在私の行政保健師としての活動は、メタボリックシンドロームの対象者に行う特定保健指導や母子相談等を中心に行っています。
対象者の方、住民の方が話を聞いてもらってよかったと思ってもらえるように関わり、その後、実際に減量が成功されたとお聞きした時はとても嬉しくやりがいを感じます。
行政保健師という仕事は看護師の様に身体を拭いたり直接的な援助を行う訳ではありませんが、人生の節目において道しるべとなるやりがいのある職業だと感じています。
またたくさんの人と出会い、学び、教えていただき、新たに今後出会う方にその学びや経験を活かすことができるやりがいのあるすばらしい職業だと感じます。
皆さんも行政保健師となって、住民の方と寄り添い、働いてみませんか?
辛いこともあります、責任感で押しつぶされそうになることもあります、それでも対象者の方、住民の方の笑顔が見れる素敵な仕事です。
ぜひ皆さんが、対象者の方、住民の方のために頑張って働かれる行政保健師になることを願っています。
応援しています。
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