私が働く自治体には男性保健師が2名いますので、そうした男性保健師の経験や、感じたことなどを述べます。
私が働く自治体では、男性保健師は新生児訪問は行っていません。
自治体によって、ここは違いがあるでしょう。
保健師が行う新生児訪問の目的は、産褥期にあるお母さんの心身の健康状態の観察及び新生児の健康観察が主な訪問の目的です。
また第1子のお母さんに多い傾向にあるのですが、慣れない育児と思うように進まない家事の板挟みになり、精神的に追い詰められ非常に辛い思いをされているお母さんも多いのも現状です。
そして当然、この時期のお母さんは新生児の免疫獲得の観点からも母乳育児を行っていることが大多数です(稀に何か疾患を持っておられ内服治療中で人工栄養のこともあります)。
乳房の観察と赤ちゃんの栄養状態は密接な関係があり実際に母乳を与えている場面を観察し、乳首の含ませ方や乳房マッサージの方法を指導します。
この様な指導を男性にされるのは、女性のの立場に立つと正直、辛いかなと思います。
また、訪問時には体調が辛い時にはひとりで抱え込まずに、周囲に助けを求めることの大切さや楽に家事が出来るように時短家事のテクニックをお話することも多いです。
私事ですが次女を出産した病院で、看護学生が母性看護実習のため来られていました。
そして授乳場面を男性の看護学生に見学させてくれないかと依頼されたことがありました。
私が行政保健師ということを病院側は知っていたので実習の意図も理解済みで受け入れ可能だろうと考えたのかもしれませんが、私には家族以外の男性に胸を見せることは辛く、考えられず、断りました。
新生児訪問は母乳指導等も行うため、男性では女性が心理的に辛いという側面もあるのかなと感じます。
後は成人の健康診査の際に、行政保健師が主に担当するところがあります。
最初の問診や、その健診の最後の結果説明のところです。
男性保健師に言いにくい身体症状や心理的に不快な思いや辛い思いがありそうな場合は、途中で女性の保健師に代わることがありますが、それ以外は特に男性、女性受診者に関わりなく、男性保健師は担当しています。
しかし、当然、子宮がん検診や乳がん検診に関しては、検査に関わる人以外の男性は当然ですが立ち入らないことになっています。
乳幼児健診時には、その月齢に応じた発達がなされているかと、昨今は主に育児にあたる人(主には母親)のストレス状態の観察及び軽減(育児が辛くないかと問診票に記載している市町村もあり)も健診の大きな目的のひとつとなっています。
ここでも成人の健診と同様に主に最初の問診と最後の結果説明のところを、保健師が担当します。
お母さんの中には、同じ女性の保健師の方が育児の難しさや辛さ、家事と仕事の両立の辛い気持ちを話やすいのでいいと話す方もいますが、ほとんどのお母さんが、男性保健師でも話を聞いてくれ、こちらの思いをくみ取ってくれるなら問題ないと話されています。
乳幼児検診では男性保健師も全部を担当します。
お母さん、お子さんの気持ちに沿った支援が求められているのは、男性保健師、女性保健師ともに変わりません。
男性保健師がいてくれて良かった面も多いです。
やはり女性が多い職場は色々と気苦労も多く、辛い面もありますが、男性が一人いることでいい意味で緩衝材となり助けられることがあります。
また、男性の方が多角的な視点で物事を客観視出来るところがあり、地区診断や事業評価などは得意とされていました。
健診の会場設営等で力仕事が必要な時もあり、男性保健師がいてくれて頼りになります。
ある時は家庭訪問するにあたり、女性の保健師一人では危険で辛い事例(精神的に錯乱状態にある人やアルコール依存症の人、ドメスティック・バイオレンスの家庭など)は男性の保健師と同伴訪問してもらうこともあります。
男性保健師はまだまだ少数派で仕事をしていく中で辛い場面に遭遇することもあるかもしれませんが、人として保健師として専門職としてその人の立場に立ちどうすればいいかを考え援助出来るかが大切なことだと思います。
応援しています!
頑張ってください。
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