新卒で看護師、助産師、保健師になった方へ―仕事の取り組み方
病棟にも新卒の看護師が入ってきました。
今は、オリエンテーションを受けています。
期待と不安を抱えながら、一生懸命頑張ろうという姿があります。
私が新卒として入職した時も、すぐに仕事を覚えて患者さんや病棟に貢献したい、まわりの先輩に褒められたい、同期より仕事ができるようになりたいなどと燃えていました。
精神的にきつかった。
入職してすぐ、私自身は仕事をはやく覚えようと頑張ったと思います。
自分なりには。
朝早く病棟に行き、患者さんの状態をカルテでみたり、物品の場所を覚えようとしたり、日勤の仕事が終わっても、ケアの流れを覚えようとしたり、やっていました。
私はICUに入職し、行う処置が高度かつ多く、まわりの先輩看護師はきびきび働いていて、私が遅れをとってはいけない、早く仕事を覚えて同じように仕事をするんだと考えていました。
看護学生の頃は、成績もまずまずよく、何かを覚えたりするのは得意でしたので、すぐに仕事も覚えられるだろうと考えていました。
しかし、私は、入職して半年以上、ほとんど仕事を覚えることができませんでした。
4月まではまだよかったと思います。
看護師として入職し、オリエンテーションや研修が入って、実際に病棟に行っても、プリセプターの看護師が色々教えてくれる。
まだできなくて当たり前という雰囲気がありました。
しかし、数ヶ月経っても私はなかなか仕事を覚えることができませんでした。
実際は、仕事を断片的にはわかってきて、ゆっくりやることができればできたかもしれません。
しかし、私が配属になったICUでは、展開が早く、ゆっくり処置、ケアをするということはなかなかできませんでした。
私自身で、ICUを希望して配属になりましたが、展開が早すぎて、ゆっくりしていると先輩看護師に怒られて、判断が遅いと怒られてという状況で、怒られて頭が真っ白になり、思考が停止してしまっているような状態になってしまいました。
ICUではいつ新たな患者さんがくるかわからず、いざ入院となれば、病棟全体がさらにあわただしくなり、私のようなゆっくり動作していると怒られることがありました。
いつも仕事が終わり、怒られて、帰りながらなんで私はICUを希望したのか、自分の性格なども考慮して、もっと自分に適したところを選ぶべきじゃなかったのか、もう取り返しができない選択をしてしまった、自分はなんてバカなんだと考えていたのをよく覚えています。
今まで、看護学生の時は、自分はまずまず何事にも要領よくできると思っていたので、自分への歯がゆさ、情けなさがこみ上げてきました。
私は、一度怒られると、大きく傷つくというか、テンションが下がるというか、どすんと心が重くなり頭が真っ白になってしまいます。
そうなると、本来できるはずのこともできなくなり、それでまた先輩看護師に怒られるというループになってしまいます。
朝、出勤してすぐに怒られると、朝から重たい気持ちになり、仕事を始めても、また先輩に怒られないかな、もう仕事辞めたいなど考え、できるはずのこともまた失敗し、さらに落ちこむことがありました。
仕事終わりに帰り駅に向かいながら、なんで看護師になったのか、なんでICUなのかなどと考え、よく泣いていました。
しまいには、私のプリセプターと看護師長がナースステーションで、私の仕事のできなさについて話し合っているのを聞いてしまい、「ああ、もう私はこんなところにいるのはいやだな、もう辞めたい」という感情が爆発しました。
「みんな同じ。楽しむ努力をしてみろ」
感情が爆発した私は、同じ病棟の1人の先輩に相談しました。
その先輩は仕事ができ、私が尊敬する人ですが、気さくに私に話かけてくれるような人でした。
私は、仕事ができず辞めようと思っていることを伝えました。
そうすると先輩から次のようなことを言われました。
先輩:「私も同じ。新卒で入ったとき、よく怒られた。トイレで泣いたことなんて数え切れない。今、私が仕事ができると言ってくれたけど、初めからできる人なんていない。みんな失敗して怒られてうまくなっていく。私だけじゃないよ。みんなそう。ここの師長だって、どんだけ怒られていたか。私は長年いるから知っているけれど、みんなそう。失敗して、怒られるというのは、みんなその道を経ている。」
先輩:「大きな失敗はしないように私たちがフォローしている。見られていて嫌だなと思うこともあると思うけど、病棟で〇〇(私)のことを言っているのを聞いてへこんでいるのかもしれないけど、私たちは期待している。どんだけ師長やプリセプターの◎◎が、〇〇のちょっとした成長を見て嬉しそうにしているか。今、つらいのはわかる。だけど、仕事を楽しむ努力をしてみろ」
私は、仕事を楽しむというのは、仕事ができるようになって、自然と楽しむという境地にいくと思っていたので、先輩から言われてびっくりしました。
先輩:「楽しむよう努力する。辛い仕事の中に、楽しさを見つける努力をしてみろ。そうすればあなたは変わる」
新卒で入職した人の中には、すぐに仕事に慣ればりばり仕事をする人もいますし、努力はしているけれどなかなかそれが実を結ばない人もいるでしょう。
先輩に怒られすぎて、家に帰ってもその日に教えてもらったところを復習しようにも、疲れ果てて寝てしまい、もう次の日になってしまったという経験をする人もいるでしょう。
私も同じような経験をしています。
もし、新卒で病棟に配属されて、仕事もういやだなと思った時、「仕事を楽しむ努力」をしてみてください。
仕事は、初めは辛いことがほとんどです。
怒られてばかりで心が辛くなってしまうことも、朝、もう行きたくないと泣きたくなってしまうこともあります。
しかし、そうした感情に支配されても、自分がどんどん辛くなっていくだけです。
せっかく看護師、助産師、保健師として希望をもって就職し、確かに仕事は最初つらいことがほとんどだけれども、つらいことの中にも楽しさを見つけるよう努力をしてみてはどうでしょう。
そのことを先輩の看護師が教えてくれました。
私は入職してからというもの、看護を全く楽しめていませんでした。
先輩に怒られないようにとびくびくしていましたし、先輩とケアするときも注意されるのではと怖く、病棟にいること自体が苦痛でした。
しかし、みんな怒られるという道を経験していますし、何度も何度も怒られて、それでも今、ICUの師長になっている人もいます。
仕事ができる、尊敬できる師長です。
怒られたからってそれが何だというのでしょう。
みんな怒られることは経験していますし、怒られたからって自分の評価が下がりますか?
1年後や数年後に、「〇〇が新卒で入ってきた時には、参ったよ。ミスが多くて。それが今や仕事できるし、プリセプターをするまでになって」などの話になるだけです。
評価が下がるのは、全く成長しようとする姿勢がない時だけです。
成長のスピードは人それぞれあるでしょう。
少しでも成長しているならば、評価は下がりません。
いつか仕事ができるようになる未来が見えるからです。
大きな失敗もしないよう、先輩看護師、助産師、保健師が見ています。
怒られるのは皆経験していますし、それで大きな失敗に繋がるということもありません。
少しでも成長していれば評価も下がりません。
それだったら、仕事、看護を楽しんでみませんか。
楽しんで仕事をするように努力すると、知識やスキルがどんどん入っていきます。
先輩看護師、助産師、保健師から怒られた時も、怒られたという状況に落ち込むのではなくて、素直に怒られた内容が入っていき、「うまく行うにはこうしたほうがいいのか」「こういうところに注意、配慮しないといけないのか」「次はもっとうまくやる、できる」と前向きに捉えることができます。
そうやって楽しんで仕事をすると、成長は加速度的になります。
時に、仕事をしていて、悔しいときもあるでしょう。
そういう時は、必ず挽回すると心に誓いましょう。
仕事を楽しむ努力をすると、得られる知識やスキルが加速度的に増え、仕事ができるようになりますよ。
日々の業務の中で、仕事を楽しむ努力をするとともに、基礎的な看護技術の復習、習得にも力を割いてください。
これをするのとしないのとでは、成長スピードがまるで違いますよ。
基礎的な看護技術の習得についてはこちらの本がおすすめです。
ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson [ 森皆ねじ子 ] |
医者がイラスト付きで手技を解説しているのですが(またこのイラストがかわいい。そしてわかりやすい)、看護師にも大変おすすめの内容となっています。
手技の細かいところまでポイントが書いてあり、採血や胃管など、看護師がよく行う手技のポイントが秀逸です。
特に採血は必ず読んでおくことをおすすめします。
そこらにある看護技術を解説した本よりも、実践的です。
病院の更衣室の自分のロッカーの中に一冊置いておくと、いつでも学習、見直しすることができ、大変便利ですよ。
また、看護技術に関してこちらも強くおすすめします。
ねじ子のヒミツ手技(2nd Lesson)改訂版 [ 森皆ねじ子 ] |
同じく看護で使う技術について解説してあります。
この2冊を見て勉強すれば、手技に関しては問題なしというか、先輩よりもうまくなってしまうかも。
そして、患者さんを観るという観点から、以下の本もおすすめ。
患者さんを「観る」ということができるようになります。
バイタルをとりに行って、はてあと何観るというのがわかってきます。
ねじ子のぐっとくる体のみかた [ 森皆ねじ子 ] |
循環器系の方は、こちらもおすすめです。
ねじ子とパン太郎のモニター心電図 [ 大上丈彦 ] |
モニターをみれるようになると、循環器以外の科でも強いですよ。
仕事を楽しむ努力をすると、得られる知識やスキルが加速度的に増え、仕事ができるようになります。
新しく看護職になった皆さん、仕事を楽しむ努力をしてみてください。
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